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Sunoに自分の曲のパートを作ってもらった検証

Sunoが、MCPという仕組みでAIから直接操作できるようになりました。僕はClaudeと話しながら制作を進めることがあるので、会話の流れのままSunoを動かせるなら面白そうだと思い、実際の制作で試してみました。

題材は、テンポが200ほどある速い曲で、バンドで組み直している途中でした。知りたかったのは、Sunoに曲を丸ごと作ってもらえるかではなく、この曲に足りないパートだけを作ってもらえるかです。

先に結論を書くと、Sunoはすごいです。ただ、すごさが出たのは文字で頼んだときではなく、音を渡して頼んだときでした。

1. 文字だけで頼むと、別の曲になる

最初はテンポ、キー、コード進行、音色を文字で細かく伝えて、シンセパッドとリードギターを2本ずつ、計4本作ってもらいました。使ったのは20クレジットです。

どれも雰囲気はちゃんと出ていました。短い文章からここまでの曲になること自体が驚きです。ただ、聴いてみると全部別の曲でした。テンポも200〜207とばらついていて、旋律も指定どおりにはなりません。自分の曲に重ねるパートとしては使えませんでした。

これはSunoが悪いのではなく、頼み方の問題だと思います。曲を生み出す道具に、部品の寸法まで文字で伝えようとしていました。

2. 音を渡すと、音色だけを置き換えてくれる

そこで、やり方を変えました。曲のコードを、MIDIから鳴らした飾り気のない単純な音にして、それをSunoのカバー機能に渡します。指示は「コードとタイミングはそのままで、丸いシンセパッドにしてほしい。ドラムもベースもギターも歌もいらない」というものです。

すると、ほとんど音色のない音が、そのまま重ねられそうなシンセパッドになって返ってきました。ここが一番驚いたところです。念のためコードが合っているかを小節ごとに測ると、こうなりました。

作ったもの長さコードが合っていた小節
シンセパッド(短い版)約16秒13小節中11小節(良かった方)
シンセパッド(長い版)1本目約38秒31小節中30小節
シンセパッド(長い版)2本目約37秒31小節中31小節

頼まなかったドラムも混ざっていませんでした。長い版は2本で10クレジットです。このパッドは聴いても「悪くない」と思える音で、全部の小節が合った2本目は、実際に曲へ重ねて試すことができました。

コードだけでなく、旋律を含むシンセも試しました。テンポ200の曲で約57秒、リードと同じ旋律にコードを添えたガイドを渡しても、数分もかからず2本が返ってきます。

3. 苦手なところも見えた

もちろん、そのまま使えるわけではありません。測ってわかった癖もあります。

ひとつはテンポです。57秒の版は、テンポが0.5%ほど速くなっていました。曲の頭と終わりで合わせて約0.3秒ずれます。ただ、ずれ方がまっすぐだったので、全体の長さを少し伸ばすだけで0.02秒ほどの差まで直せました。

もうひとつは細かい旋律です。ガイドと音の高さが合っていた割合は、2本それぞれ63%と56%でした。和音も鳴っている音なので測り方は少し大まかですが、終盤の数小節は数字でも外れが多く、聴いても怪しく感じました。パッドでも音の膨らみがゆっくりなぶん、0.2秒ほど前に寄せる必要があります。短い版には、1か所だけコードの響きが変わってリードとぶつかる小節もありました。

長く伸ばす音やコードはとても正確で、速く細かい旋律はまだ少し苦手。今回の範囲では、そんな印象です。

4. AIから動かせると、検証が続けられる

MCPのよさは、作って終わりにならないことでした。音を上げて、カバーを作って、できたものを取り込み、コードやずれを測って、曲の時間に合わせる。ここまでが会話の中でつながります。ひとつずつ画面を行き来していたら、今回のように何度も測り直す気にはならなかったと思います。

もっとも、AIは音を聴くことができません。測った数字がそろっていても、良いか悪いかは別の話です。最後に決めるのは、やはり自分の耳でした。

5. 結局、この曲には入れなかった

正直に書くと、今回完成した曲にSunoの音は入っていません。シンセを重ねた版は終盤に怪しいところも残っていましたが、外した一番の理由は曲の方向でした。

それでも、検証としては大きな収穫でした。文字で頼めば曲のアイデアが返ってきて、音を渡せばパートが返ってくる。頼み方ひとつで、Sunoは別の楽器のようになります。

まとめ:Sunoはやっぱりすごい

自分で鳴らした飾り気のない音が、31小節すべてのコードを守ったまま、曲に重ねられるシンセに変わる。しかも数分で、何度でも試せる。少し前までなら、音源を探して音色を作り込むところから始めていた作業です。

曲を丸ごと任せる道具としてだけ見ると、もったいないと感じました。自分の曲の設計図を渡せば、音色を一緒に探してくれる相手にもなります。

僕の音楽の真ん中がギターであることは変わりません。ただ、そのギターの隣で鳴る音の選び方は、また少し広がった気がします。こんな試行錯誤も含めて、曲の裏側を楽しんでもらえたら嬉しいです。